初めてのフーゾク・ミナミ②
鮮烈なデビューはハタチの夏、
雨が降っていたのを覚えています。
当時大学生だった僕はアルバイトで貯めたお金を持ってミナミに立っていました。
後になって周りの風俗デビューの話を聞くと
知り合いや先輩に連れられて…という方が圧倒的に多かったのですが
当時は周りにそのような方はおらず、自らの手で切り開くほかなかったのです。
よって、
「もしかして、騙されて身ぐるみ剥がされるんやなかろうか」
とビビりにビビり、もしものためと靴下の中に一万円札を入れて行きました。
安っぽいノボリ、鬱陶しいほど光る看板に不安を待ちつつドアが開くと、コワモテとおっさん数人が迎え入れてくれます。
「ご予約は!」
今となっては気にならないのでしょうが、
靴下に一万円が入っている僕からすればかなりの威圧感を感じたのを覚えています。
ああ、こらあかんわ、、、
と思いながらも「予約してないです」と声を絞り出すと、
おっさんは淡々と料金の説明を始めました。
「ご指名は!」
とまた語気強めに聞かれ、予約も指名もどういうシステムなのか、というか課金コンテンツなのかもわかりませんから首を横に振り、紙に書かれているだけの金額を支払いました。
そうすると女の子の写真、風俗店ではパネルといいますが、それが並んでいる部屋へ通されます。
フォトショップという言葉は知っていましたが
こんな所でその技術に触れるとは思ってもみませんでしたから
当時の僕は美人だらけのすごい店やん、と素直に感動していました。
誰にしようかパネルを眺めていると、おっさんは壁に掛けてあるパネルを数枚剥がしたら並び替えたりの作業を始めました。
「すぐいけるんはこの3人やで」
と先頭に並べられたパネルを見ます。
清楚なアイドル系、ギャル系とみなジャンルが違ったように思います。
「夜のお店は派手な女性」
という固定観念があった僕は、3人の中で飛び抜けてギャルっぽい女性を指差しました。
「はいユメちゃんね、指名料2000円な」
冷や汗です。
ここに課金コンテンツが潜んでいたかという思いと、2000円で済んでよかったという気持ちからでした。
おっさんに2000円を手渡し、渡された番号札を握りしめて、タバコの火で穴だらけのソファに座ります。
程なくして呼ばれ、ピンクのカーテンの向こうへ通されます。ここで女の子と対面です。
「ユメで〜す☆」
化粧オバケやんけ!
思ってたんと違う!!!
いわゆる「パネマジ」、まあ、洗礼みたいなものでしょう。
ユメちゃんに手を引かれプレイルームにいきます。
ユメちゃんは何か話していたと思うのですが、こっちは緊張でそれどころではありません。
「じゃ、服ぬごっか〜☆」
夏場でTシャツ一枚、上半身はあっという間です。
ズボンを脱がされた辺りで、靴下の一万円札を思い出し、
「く、靴下はええわ!自分で脱ぐわ!」
とその日一番声を張りその場をしのぎます。
ここでユメちゃんも服を脱ぎます。
化粧のインパクトで見逃していましたが、
スタイルはまさにスレンダー、素晴らしかったです。
僕の緊張をほぐすようにたくさん話をしてくれました。
マットプレイも一級品、当時は比較対象がありませんでしたが今になるとそう思います。
ただ僕は緊張を隠すために、マット中、
「今なに、どうなってんの!」
「膝の裏で挟んでんの!ほ〜!膝の裏ってめっちゃ気持ちええねんな〜〜!」
「うつ伏せで見えへんからカメラとモニター置いてんか〜!」
と喚き散らしておりました。
ユメちゃんは笑っていました。
そうこうしているうちに僕のデビュー戦は終わりました。
パネマジで驚きはしましたが、プレイ後は感動と幸福感に包まれていたでしょう。
ユメちゃんからは香水のすごくいい匂いがして、
プレイ後なんの香水かを聞き、同じものを買って枕に吹きつけてしばらくはそれを抱いて眠る日々でした。
後からお店のホームページを見ると、
なんとユメちゃんはそのお店のナンバーワンだったそうです。
パチンコや競馬で味わえなかったビギナーズラックがそこにありました。
最初にアタリを引くとハマる、というのはまさにその通り、
そこから僕のフーゾク人生がはじまりました。
ありがとうございました、ユメちゃん
あなたのおかげで今の僕があります。
どうかお元気で。
十二